「また私に生まれたい」

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昨年、「親ガチャ」という言葉が、流行語大賞のトップ10に選ばれました。どんな親の下に生まれるかによって、人生はほぼ決定するという考え方です。確かに、子どもは親の多大な影響を受けます。免れることはできません。しかし一見、不幸と思われる家庭に生まれたら、それは「外れクジ」と諦めるしかないのでしょうか?そんなことはありません。

私は最近、上原令子さんのルーツを知りました。『やっぱり、生きるってすばらしい(マナブックスより)』上原さんの父は米兵でしたが、母は上原さんがまだ4ヶ月の時に彼女を手離し、上原さんは父を知らないまま親戚に育てられたそうです。「私は間違いで生まれてきたのだ。」彼女は酒や薬物に手を染め、ただ絶望していました。しかし、アメリカンスクールで聖書を学んだこともあり、教会に通います。そしてイエス・キリストを信じ、祈りをささげた時、これまでに感じたことのない安心感と喜びが湧いてくるのを感じたのだそうです。

聖書の言葉は、傷ついた上原さんの心に響きました。「あなた(神)こそ…母の胎の内で私を組み立てられた方です(詩篇139篇13節)。」「私の父や私の母が私を見捨てる時は、主が私を取り上げてくださいます(詩篇27篇10節)。」「わたし(神)の目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している(イザヤ43章4節)。」…神の愛に触れた彼女は「この世に生を受けた人で、間違いで生まれてきた人など1人もいない。どんな環境にあれ、神の無条件の愛は、分け隔てなく全ての人に注がれている」と知ることができました。

現在、上原さんはシンガーソングライターとして活躍しておられます。苛めに会い、苦しんできた上原さんの歌は、他の様々な苦しみの中にある人々に慰めをもたらしています。苦しみの経験があるからこそできる働きです。「もう一度、生まれ変われるとしても、ハーフの上原令子で生まれてきたい」という言葉には感動しました。

もし、上原さんが聖書に出会っていなければ、今でも「親ガチャで外れた」と思い続けられたことでしょう。しかし、外れなどありません。たとえ、不幸と思われるルーツを持っていたとしても、神は全てのことを働かせて益としてくださいます。流行語ではなく神の言葉、あなたを愛し、すばらしい計画を立てておられる神の言葉に耳を傾けましょう。

伝道師 後藤献四郎