12月、嬉しいクリスマスの季節であるにもかかわらず、ジングルベルを聞いても素直に喜べない厳しい生活を送っておられる方もおられるでしょう。何かの動かし難い問題や人によって、あるいはコロナ禍や運命のようなものに自分の人生が支配されるように見え、それだけに滅入っている方もおられるかもしれません。
2千年前の最初のクリスマス、ヨセフとマリヤもまた。動かし難い問題と人に支配されていました。初代ローマ皇帝アウグストが長い戦乱から世界を平定し、平和が訪れたにもかかわらず、経済は逼迫。それで国家の台所を潤すために民から税を集めようと、まずは「生まれ故郷に帰り人口登録をせよ」との勅令を出したのです。それによって名簿を作成し、税を納めさせる目的でした。
これは国の指導者としては当然の政策でしたが、ヨセフとマリヤにしてみれば至極迷惑なものでした。なぜならマリヤは9ヶ月の身重になっており、その状態で300㎞もロバにゆられての旅は危険だったからです。しかしローマ皇帝には逆らえません。命の危機もある中で旅を決行しました。ナザレから彼らの生まれ故郷ベツレヘムまで無事に着けるだろうか…そんなハラハラする中でしたが、無事にそれも胎内の赤子も「月満ちて」生まれたのです。その幼子こそ人類の救い主イエス・キリストでした。更に言えば、その救い主の誕生はキリストがお生まれになる遙か6百年前の預言者ミカを通して「救い主はベツレヘムで生まれる」ことが神によって預言されていたのです。神はマリヤの出産を守り、そして見事に預言を実現されました。アウグスト皇帝が発した勅令をも神の預言の実現の道具でしかなかったのです。
この事からあなたにお伝えしたいのです。あなたの人生にもあなたの意志を無視して、あなたを動かすような「アウグスト」なるものがいるかもしれません。でも心配しないでください。神はそれさえも、あなたに素晴らしい救いをお与えになる道具として、用いられるのです。
あなたにクリスマスの祝福が注がれますように。
牧師 中 西 正 夫