「半径0mの革命」

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私たちの教会がある富田林市は今、人口減少が進み、地方行政や企業によるサービスが急速に変化しています。人口は2002年をピークとして毎年1000人のペースで減少し、2040年には8万6000人台まで減少する見込みです。すでに様々なサービスの低下が顕在化しています。乳幼児の減少に伴い、市内13の幼稚園を4つに減らす再編条例が議論されています。年末には金剛バスが廃止されることとなり、関係する行政が既存の路線を再編して引き継ぐ方針を決めました。全国的に進む人口減少による社会の変化を、私たち富田林市民は今、痛切に味わっています。高度成長期を駆け抜けた世代には受け入れがたいこともあるでしょう。それでもなおこの現実を受け止めて、次世代の方々と共に活気ある、新しい地域社会の形を模索していきたいですね。

活気ある地域社会は、一人ひとりが自分の隣人を大切に想うことから始まります。あるユダヤ人教師がこのような言葉を語ったと言われています。「若い頃、私は世界を変えることを夢見た。年を重ねるにつれ、私は少しだけ賢くなり、自分の国を変えることを目指した。それでもなお成功できず、更に年をとって、私は家族を変えることを試みた。しかし、それも困難であった。今、私は老いて気づいた。初めに自分自身を変えるべきだったのだ。そうすれば私の家族が感化され、それが国を感化し、そして世界は変えられるのだ。」

社会の急激な変化を目の当たりにすると、慌ててしまい、「あれが悪い、これが悪い」と他人を批判したくなります。ですが、自分自身の隣人をまず愛して大切にすることこそが地域社会の土台です。今から2000年前にイエス・キリストは「あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい」とすでに語り、2000年の時を経てなお、聖書はその真理の言葉を私たちに語りかけています。隣人を愛する思いに私たち一人ひとりが変えられるとき、人口減少を吹き飛ばすような地域社会がそこに生まれます。私たち一人ひとりが、半径0mの愛の革命家になれるといいですね。

牧師 西 原 智 彦