朝ドラ“マッサン”も今月で最終回。私は『リタと旅する』という本を買い、主演のモデルとなった人物リタさんと夫の竹鶴政孝さんを調べてみました。とても興味深い内容です。
彼女の家でお手伝いとして働いていた方に、水田一子さんという方がおられます。水田さんは18歳から3年間、竹鶴家で家事見習いをされていたのです。「あの3年間は私にとって宝です」と語る水田さん。本の中で紹介されていた思い出に、こんなことがありました。
ある年のクリスマスパーティのこと、水田さんはリタさんとクリスマスプディングを作りました。普段なら夕方には帰るところ、この日は夕食に招かれたそうです。パーティの最後はお待ちかねのプディング。灯りを消して、プディングに火を灯します。火がまだ消えないうちに、プディングを切り分けます。そしてプディングが最初に配られたのは、なんと水田さんでした。「私が若いからと、家族を差し置いて私に下さったのです。」家事見習いという役割を超えて、リタさん一家は家族のように水田さんを愛し、大切にして下さったそうです。
また、ある年のお正月にはこんなこともありました。水田さんはリタさんから「これは竹鶴家の大切なものだから、絶対に割らないで」と、瀬戸物の重箱を手渡されました。しかし、その瞬間、うっかり重箱を落とし、ガッシャーンと割ってしまいます。頭が真っ白になり、とんでもないことをしてしまった…と顔を上げられなくなってしまいました。するとリタさんは声を荒げることもなく、かえって水田さんのことを気遣い、「形あるものは、いつか壊れます。心配しなくてもいいですよ」と優しく声をかけてくれたそうです。「私には弁償できないようなものだったと思います。ただ申し訳ない気持ちでいっぱいでした。普通なら烈火のごとく叱ったと思いますが、こんな風に赦して下さり、不思議な気持ちでした。」
いかがでしたか?愛されたこと、赦してもらえたことは、深く印象に残るものなんですね。
最近、暗いニュースが多くて胸が痛みますが、私は本を読んでいてとても心が温まりました。
その後、水田さんは人生の様々な状況で「もう赦せない!」と思う時に、リタさんの言葉を思い出し、赦すことを心掛けてきたそうです。美しい“赦しの連鎖”が続いていったのです。
リタさんはクリスチャンでした。彼女の人生の根底にあるのは、やはり聖書です。聖書にはこんな言葉があります。「…神がキリストにおいて、あなたがたを赦して下さったように、互いに赦し合いなさい(エペソ4章32節)。」「赦された者として、今度は私が他の人を赦す。」人間関係はここから回復します。幸福のサイクルが実際に始まっていくのです!
伝道師 後藤 献四郎

